つまらない正しさと楽しい嘘

つまらない正しさと楽しい嘘

宮台真司の『正義から享楽へ――映画は近代の幻を暴く』(blueprint)を読んでの気付き。これは以前の雑考「「懐かしさ」の正体」(2019・11・19)で取り上げた『絶望断念福音映画』に続く、――間に『〈世界〉はそもそもデタラメである』を挟んだ――宮台の実存映画批評シリーズ第3弾である。本書のあとがきで、宮台は2016年のアメリカ大統領選の際、ドナルド・トランプの当選を希望していたと明かす。そしてその理由のひとつが「正しいだけで楽しくないリベラルの愚昧への気付き」であったとして、詳細を次のように述べている。世界中でリベラルや左翼が退潮する理由は簡単だ。「正しいけど、つまらない」からである。「正義」の軸と「享楽」の軸がある。「正しさ」と「楽しさ」と言ってもいい。昨今のリベラルは「正しいけど、つまらない」。享楽が...つまらない正しさと楽しい嘘