にーがん てぃるる
・・・おいとおしい。お寒かろうに—。“約束したホテルのラウンジには以前何度かお会いした彼のいちの秘書が既にお待ちでした。「ながくお待たせして申し訳ありません。主(あるじ)は療養で離れの別宅におりまして時間がかかってしまいました。」主にせいじつなそのひとのかわらないやわらかな声音に身構えていたわたしのこころはふっと和んだ。「まあ、そうでございましたか・・・あの方のお加減はいかがですか。何も知らず無理を申し上げたいへん失礼いたしました。」「他ならぬ貴女からのご依頼でございます。主は大層お喜びでございましたよ。おかげ様であれから張りあいを持たれて随分とお元気になられた。主にかわり御礼申し上げます。今日はわたくしがこれを主より言づかって参りました。」すっとさし置かれたその封書をわたしはすぐに手に取ることができなか...にーがんてぃるる