蕗(ふき)の葉でドロッパーを作り、珈琲を淹れる釣り宿の朝 【九州脊梁山地ヤマメ幻釣譚<23-3>】
予定されていた会議を済ませて谷へ向かったので、到着は午後3時を過ぎていた。それから入渓し、夕刻までの2時間を釣り、5匹の釣果を得た。水面近くを羽虫が飛び、ヤマメはそれに飛びつく「ライズ」を繰り返しており、餌のブドウ虫には反応してくれなかったが、水流の表面を流してやると、喰いついてきた。ふわりと餌が着水する瞬間に飛びついてくるヤツ、瀬尻で流れ下る餌を引き上げる間際に餌を咥える元気ものなどが、夕暮れ迫る渓谷に精彩を与えてくれたのである。翌朝、珈琲を淹れようと思ったら、ドリッパーを忘れてきていた。何か転用できるものはないかと台所を探したが、見つからない。山際に蕗が葉を広げていたので、これを一枚いただき、利用することにした。くるりと葉を丸めると、ちょうど真ん中に小さな穴ができるので、その上に紙のフィルターを置き、...蕗(ふき)の葉でドロッパーを作り、珈琲を淹れる釣り宿の朝【九州脊梁山地ヤマメ幻釣譚<23-3>】