「菩薩戒」に冠せられた「仏祖正伝」という言葉について
以前も、【『仏祖正伝菩薩戒作法』の特徴について(仏教系3500本目の記事)】という記事を書いたことがあるのだが、拙僧的に良く分からないのは、ここでいう「仏祖正伝」という語句について、典拠が不明ということである。宗門の場合、「仏祖正伝」という語句は、道元禅師が「菩薩戒」に付けて表現されることが多かった。比丘戒をうけざる祖師かくのごとくあれども、この仏祖正伝菩薩戒うけざる祖師、いまだあらず、必ず受持するなり。『正法眼蔵』「受戒」巻このように、「仏祖正伝菩薩戒」という表現が見られ、また、天童如浄禅師から受けた作法は『仏祖正伝菩薩戒作法』とされ、これらに「仏祖正伝」と見える。更には、道元禅師が如浄禅師から受けた口訣とされる『宝慶記』には、以下の一節も見られる。薬山の高沙弥は、比丘の具足戒を受けざりしも、また、仏祖正伝の...「菩薩戒」に冠せられた「仏祖正伝」という言葉について